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■■今年もアカウミガメの放流ツアーに行ってきました■■

カメ3 2016年9月3日(土)、好天の中参加者35名を乗せた伊那バスは、遠州灘を目指しました。参加メンバーは、リピーターと初参加の方が半々くらいの構成です。今日まで皆さんアカウミガメの赤ちゃんに逢えることをずっと楽しみにしていた様子です。毎年開催日の設定に苦慮するのですが9月3日に設定しました。残念ながら、今年も参加予約者の数家族から「中学校の運動会を忘れていました。キャンセルをお願いします。」、「今朝になって急に子供が熱を題してしまいました。キャンセルをお願いします。」のご連絡を頂き参加人数がちょっと少なめになってしまいました。でも、人数が少ない分座席は広々です。中には一人2シートのだいぶ豪勢なツアーを堪能された参加者もいました。参加人数が少なくて残念ですが、気持ちを切り替えてゆったりとツアーを楽しむことができました。伊那市乗車の参加者をピックアップして、伊那バス本社を7:40に出発したバスは、8:00に駒ケ根市昭和伊南病院で駒ケ根の参加者をピックアップ。飯田インターで待つ参加者は8:40に乗車。一路、恵那サービスエリアに向かいます。

河口 このツアーでは初めて通る、新東名高速道路の開通して間もない岡崎PAで少し休憩をして新東名浜松浜北ICでランプを降り、天竜川沿いに天竜川河口に向かいました。天竜川河口は初めて、という参加者もありましたが、普段見慣れた上流部の天竜川と川幅はだいぶ違います。強い陽の光と、心地よい風が参加者たちを迎えました。コンクリートの堤防の近くには大きな風力発電の風車が4基が大きな音を立てて回り、海に目をやると遠くの砂州に4WDが止まっていて、その向こう側に海原が広がっています。参加者の中には意外に大きな風車の音に驚いている方もいました。天竜川が海と合流する地点を観察した参加者を乗せたバスは、昼食場所の竜洋昆虫観察公園に向かいます。


勉強会 竜洋昆虫観察公園では、磐田市の職員の皆さんがいつものように迎えてくださいました。早速、研修室でお弁当を広げてお昼です。皆さん銘々に持参したお弁当を頬張ります。食事の後は、昆虫公園の観察です。
 お昼を食べて午後1時からは、研修室で環境勉会。磐田市の職員の方から磐田市の紹介、国土交通省浜松河川国道事務所の職員の方からは天竜川下流部のお話を聞くことができました。


サンク ちょっと難しかった環境学習会を終えて、磐田市、国土交通省の皆さんにお礼を言って、バスは中田島砂丘に向かいます。遠州灘海浜公園の駐車場にバスを止め、参加者は天竜川ゆめ会議ののぼり旗を先頭に、サンクチュアリジャパンの研修室へ移動です。毎年お世話になっているサンクチュアリジャパンのスタッフの方から、アカウミガメが20年かけてアメリカ西海岸まで行ってくる生態や、帰ってくる確率は5000匹に1匹といったお話を聞きました。盗難によってウミガメの卵が盗まれる話を聞きました。進む海岸浸食のために、今日放流したカメたちが20年後産卵に帰ってきたときに、産卵する砂浜が無くなっているかもしれないお話も聞きました。肺呼吸のアカウミガメが呼吸のために海面近くに上がってきて、そこに浮かぶレジ袋をクラゲと間違えて誤食し、死んでしまうお話も聞きました。「おかあさん、レジ袋はやめてマイバック持っていこうね。」


プレゼント さあいよいよ放流会です。サンクチュアリジャパンのスタッフの後をついて遠州灘の海岸に向かいます。歩きづらい砂浜を歩く信州の子供達。強い海風を受けながら白い波が立つ海に向かって進みます。遠州灘では天竜川の土砂運搬が減少したために海岸浸食が深刻な問題になっていることをバスの中で勉強してきました。今日放流したアカウミガメがお母さんになって帰ってきたときに産卵する砂浜が残っているように、今年も堆砂垣に上流から持参した「砂」をプレゼントしました。
カメ 海岸に一直線に並んだ参加者の手には、先ほどスタッフの方から渡されたアカウミガメの赤ちゃんが手足をバタバタさせています。自分の顔の前に子ガメを持ってきて写真を撮ってもらう子供達。目はキラキラ輝いています。初めて触ったアカウミガメの赤ちゃんの感触。「ちょっと硬い。」、「ぷにゅぷにゅしてる。」、「おなかと甲羅を持つとバタバタ飛ぶような恰好をする。」感想はそれぞれです。

カメ2 「放流してください。」の声で、子ガメが放たれます。一心に海に向かって歩いてゆく子ガメ。参加者は、自分のカメを目で追います。砂浜に書かれた線より前には行かない約束です。子ガメを追いかけることはできません。助けに行って海に放すこともできません。ただ、頑張れと応援するだけです。海に入って、波に押し戻されて陸に戻ってしまうカメ。なかなか海にたどり着けずに斜めに海に向かっていくカメ。波でひっくり返ってジタバタもがいているカメ。やがて、子ガメたちは波にのまれて海に旅立っていきました。これから、彼らの長い長い旅が始まります。雄のカメは、今日を最後に二度と砂浜に上がることはありません。参加者の皆さんはカメが見えなくなっても、しばらく海を眺めていました。

放流 「バスに戻って帰るよ~。」の合図で参加者の皆さんは浜辺を後にします。中にはまだ、遠い海原を眺めている子供もいます。長いアカウミガメの冒険の旅を想像しているのかもしれません。
 帰路も、新東名高速道路のルートで新しい浜松SAでお土産を買いこんで皆さんは帰路につきました。ズートピアの映画を見ながら。

見送り 今年も多くの方々にご参加いただいて事故もなく無事ツアーを終えることができました。アカウミガメの小さな命、それを取り巻く自然環境の変化。今日1日、参加者の皆さんは多くの事を体験し、考え、心に刻んで頂けたと思います。大切な自然環境の保全のために、一人一人が出来る事から始めることが大切だと感じます。ご参加、ありがとうございました。