■■ 天竜川ゆめ会議 設立10周年記念フォーラム開催 その3 ■■
■事例報告
【全国の住民の取組み】 NPO法人全国水環境交流会 代表理事 山道省三様
山道代表理事からは、長い市民活動の経験から時系列で「川」を取り巻く市民活動の動向やキーワードが説明されました。1960年代の「地先の水辺の環境改善運動」による川のゴミ清掃、魚の放流、1970年代の「生き物の復活活動」によるホタル、トンボ、メダカ等の復活、カムバックサーモン等の活動。1980年代の「親水施設整備」によるウォーターフロント整備、各地に市民団体結成の風潮。1990年代の「官民パートナーシップ」協働のまちづくり、水辺整備への市民参加、ダム・河口堰の反対運動、活動団体のNPO法人化。2000年代の「水防災害への参画」阪神淡路大震災、水防協力団体制度、新潟・福井水害、東日本大震災による防災意識の変化。
そして、2010年代の「川づくりへの市民参加」により川での福祉・教育、川に学ぶ・地域防災への参画、多自然川づくりへの変化への予測が説明されました。
最後に”いい川づくり”とは、「自然や社会的な災害からの回避」、「豊かな生活や人生の実現」とした結論は、さすが山道代表理事らしいと感じました。
【東北の川づくり】 NPO法人水・環境ネット東北 専務理事 高橋万里子様
高橋専務理事からは、1993年創立、1999年NPO認証等の、水・環境ネット東北の成り立ちから、その設立趣旨である『様々な立場の多様な人たちが「水」をテーマに自由な意見交流の場づくり』について説明がありました。総合的学習支援、環境学習指導者研修、親子体験自然楽校から、市民活動団体も学校も行政も同じ場を共有して活動を発表する東北の川「川・水環境ワークショップ」等の積極的な活動内容が紹介されました。
その他にも、広瀬川コラボ事業「地域住民と協働でつくる川づくりの実践」や、東日本大震災の被災地において荒川学会の三井元子さんと一緒に進めている、『つながり・ぬくもりプロジェクト、太陽熱温水器寄贈プログラムの支援』事業によって、停電・燃料不足によりお風呂もシャワーも使えない避難場所、仮設住宅、ボランティア拠点などに太陽熱温水器を設置して太陽熱であたためたお湯を提供している取り組みが報告されました。
また、昨年12月に被災地石巻で行った@ワールドカフェ:東北の震災後の川や水環境を考えるワークショップ~これからの川づくりの話をしよう~の報告は、被災地の皆さんならではの意見集約に感動しました。
・ハード面:想定外の外力に対応する必要性
・ノウハウ仕組み:非難表示、避難体制、水門操作、情報伝達、
役割分担、「結い」の復活、地域の防災リーダー育成が重要
・災害を伝える:災害は30年で忘れられる、記憶に残す社会、ハザードマップ作成、
成功・失敗両方伝える、「車では逃げるな」「海から離れろ」、経験していない過去を学ぶ
・地域づくり、川づくりとまちづくり:生活の中での水辺の使い方、住民の合意形成、
水(海・川)とのかかわりを復興に生かす、市民目線で考えられる川づくり、
地域に合った土地利用計画の見直し
高橋さんのお話の根底には、ひとのつながり、地域のつながり、流域のつながり、活動のつながり、ときのつながり。「つながる」大切さが流れているような気がしました。
【多自然川づくりの普及】 岐阜県県土整備部 次長件河川課長 岩﨑福久様
岩﨑次長からは、「清流の国ぎふ」の実現のために岐阜県が取り組んできた先進的な多自然川づくりの取り組みについて報告がありました。
岐阜県では、国が進める多自然川づくりに呼応して”いい川づくり”をすすめて来ました。平成2年に国が「多自然型かわづくりの推進」を打ち出すと、平成3年には「多自然型川づくりシンポジウム開始」。平成9年の河川法改正を受けて、平成13年には「自然の水辺復活プロジェクト」に着手。平成18年に国が多自然川づくりレビューに着手すると、多種多様な生物を育む自然豊かで地域が誇れる「自然共生川づくり」を重点的に実施して、「自然の水辺復活プロジェクト」を強力に推進するため、ベストリバー事業を実施。平成19年に「中小河川に関するポイントブック」が刊行されると、「自然共生工法認定制度レビュー」、平成23年「多自然川づくりポイントブックⅢ」の発刊の頃には、「自然共生川づくりの手引き改定作業」を行なうなど国の政策一歩先を行く取組みが行われてきました。
中心的な施策である「自然の水辺復活プロジェクト」では、自然と共生した川をつくる、「水みち」の連続性を確保する、清流を学び次世代へ伝える、県民協働による流域活動に参加するとして事業を推進しています。
また、河川の経験のない技術者でも、自信を持って自然と共生した川づくりの業務を進めていけるように、川づくりの目標設定の手法等をわかりやすく取りまとめた手引書として、平成21年には「岐阜県自然共生川づくりの手引き(案)」を作成し、「川づくりの目標」を明確化、「川づくりの目標」達成のための工法選択が出来るようにサポート、「川を見る目」を養う等の取り組みが説明されました。
いっぽう、現場での取り組みについては、設計コンサルタント、施工業者、ブロックメーカー、発注者(行政)が、専門家を講師に招いて現場にて一緒に考える。「自然共生川づくり勉強会」の活動内容報告や、自然共生工法を施工するにあたっての出来形管理をどう行うか、使用するブロックの明度・彩度など景観に関する問題提起、現地材料を使用した水際の空隙の確保の研究、保全する河畔林の洪水等への注意喚起など、より具体的な施工業者の立場からの意見も紹介され、大変参考になるご説明を頂きました。
その4に続きます。
■事例報告
【全国の住民の取組み】 NPO法人全国水環境交流会 代表理事 山道省三様
山道代表理事からは、長い市民活動の経験から時系列で「川」を取り巻く市民活動の動向やキーワードが説明されました。1960年代の「地先の水辺の環境改善運動」による川のゴミ清掃、魚の放流、1970年代の「生き物の復活活動」によるホタル、トンボ、メダカ等の復活、カムバックサーモン等の活動。1980年代の「親水施設整備」によるウォーターフロント整備、各地に市民団体結成の風潮。1990年代の「官民パートナーシップ」協働のまちづくり、水辺整備への市民参加、ダム・河口堰の反対運動、活動団体のNPO法人化。2000年代の「水防災害への参画」阪神淡路大震災、水防協力団体制度、新潟・福井水害、東日本大震災による防災意識の変化。
そして、2010年代の「川づくりへの市民参加」により川での福祉・教育、川に学ぶ・地域防災への参画、多自然川づくりへの変化への予測が説明されました。
最後に”いい川づくり”とは、「自然や社会的な災害からの回避」、「豊かな生活や人生の実現」とした結論は、さすが山道代表理事らしいと感じました。
【東北の川づくり】 NPO法人水・環境ネット東北 専務理事 高橋万里子様
高橋専務理事からは、1993年創立、1999年NPO認証等の、水・環境ネット東北の成り立ちから、その設立趣旨である『様々な立場の多様な人たちが「水」をテーマに自由な意見交流の場づくり』について説明がありました。総合的学習支援、環境学習指導者研修、親子体験自然楽校から、市民活動団体も学校も行政も同じ場を共有して活動を発表する東北の川「川・水環境ワークショップ」等の積極的な活動内容が紹介されました。
その他にも、広瀬川コラボ事業「地域住民と協働でつくる川づくりの実践」や、東日本大震災の被災地において荒川学会の三井元子さんと一緒に進めている、『つながり・ぬくもりプロジェクト、太陽熱温水器寄贈プログラムの支援』事業によって、停電・燃料不足によりお風呂もシャワーも使えない避難場所、仮設住宅、ボランティア拠点などに太陽熱温水器を設置して太陽熱であたためたお湯を提供している取り組みが報告されました。
また、昨年12月に被災地石巻で行った@ワールドカフェ:東北の震災後の川や水環境を考えるワークショップ~これからの川づくりの話をしよう~の報告は、被災地の皆さんならではの意見集約に感動しました。
・ハード面:想定外の外力に対応する必要性
・ノウハウ仕組み:非難表示、避難体制、水門操作、情報伝達、
役割分担、「結い」の復活、地域の防災リーダー育成が重要
・災害を伝える:災害は30年で忘れられる、記憶に残す社会、ハザードマップ作成、
成功・失敗両方伝える、「車では逃げるな」「海から離れろ」、経験していない過去を学ぶ
・地域づくり、川づくりとまちづくり:生活の中での水辺の使い方、住民の合意形成、
水(海・川)とのかかわりを復興に生かす、市民目線で考えられる川づくり、
地域に合った土地利用計画の見直し
高橋さんのお話の根底には、ひとのつながり、地域のつながり、流域のつながり、活動のつながり、ときのつながり。「つながる」大切さが流れているような気がしました。
【多自然川づくりの普及】 岐阜県県土整備部 次長件河川課長 岩﨑福久様
岩﨑次長からは、「清流の国ぎふ」の実現のために岐阜県が取り組んできた先進的な多自然川づくりの取り組みについて報告がありました。
岐阜県では、国が進める多自然川づくりに呼応して”いい川づくり”をすすめて来ました。平成2年に国が「多自然型かわづくりの推進」を打ち出すと、平成3年には「多自然型川づくりシンポジウム開始」。平成9年の河川法改正を受けて、平成13年には「自然の水辺復活プロジェクト」に着手。平成18年に国が多自然川づくりレビューに着手すると、多種多様な生物を育む自然豊かで地域が誇れる「自然共生川づくり」を重点的に実施して、「自然の水辺復活プロジェクト」を強力に推進するため、ベストリバー事業を実施。平成19年に「中小河川に関するポイントブック」が刊行されると、「自然共生工法認定制度レビュー」、平成23年「多自然川づくりポイントブックⅢ」の発刊の頃には、「自然共生川づくりの手引き改定作業」を行なうなど国の政策一歩先を行く取組みが行われてきました。
中心的な施策である「自然の水辺復活プロジェクト」では、自然と共生した川をつくる、「水みち」の連続性を確保する、清流を学び次世代へ伝える、県民協働による流域活動に参加するとして事業を推進しています。
また、河川の経験のない技術者でも、自信を持って自然と共生した川づくりの業務を進めていけるように、川づくりの目標設定の手法等をわかりやすく取りまとめた手引書として、平成21年には「岐阜県自然共生川づくりの手引き(案)」を作成し、「川づくりの目標」を明確化、「川づくりの目標」達成のための工法選択が出来るようにサポート、「川を見る目」を養う等の取り組みが説明されました。
いっぽう、現場での取り組みについては、設計コンサルタント、施工業者、ブロックメーカー、発注者(行政)が、専門家を講師に招いて現場にて一緒に考える。「自然共生川づくり勉強会」の活動内容報告や、自然共生工法を施工するにあたっての出来形管理をどう行うか、使用するブロックの明度・彩度など景観に関する問題提起、現地材料を使用した水際の空隙の確保の研究、保全する河畔林の洪水等への注意喚起など、より具体的な施工業者の立場からの意見も紹介され、大変参考になるご説明を頂きました。
その4に続きます。
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