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アカウミガメ放流ツアーに行ってきました

■■今年もアカウミガメの赤ちゃんにに逢ってきました■■


 2018年9月9日(日)、今年も「アカウミガメ放流ツアー」実施となりました。今年は、岡谷市エコクラブの皆さんもご参加頂いて、岡谷市役所からバス2台、伊那からバス1台で参加者134名の大所帯のバスツアーです。夏の猛暑、その後の天候不順で雨も予想されましたが、倉田事務局長と岡谷市エコクラブ担当の小口さんと協議の結果、「多少雨が残る程度であれば延期しないで強行しましょう」と決定しました。

コガメ 当日、未明まで降っていた雨が次第に小降りになり、何とか1日持ちそうな雰囲気になっています。岡谷市役所に集まってくるエコクラブの皆さん。普段は環境に対してとても興味深い勉強をしている皆さんです。今日は、アカウミガメを取り巻く環境や、遠州灘の風景で何を感じてくれるでしょうか。朝早くからちょっとワクワクした気分です。定刻通り7:30に2台のバスは岡谷市役所を出発しました。

かわいいカメ 一方、伊那市伊那バス本社駐車場に集合した9名は天竜川ゆめ会議沖村理事の確認を受けて、3号車も定刻通り7:50に出発です。「今日はこのバスも、ほぼ満席になります。後ろから詰めて座席に座ってください。」との沖村理事からの指示で、後ろから席が埋まります。伊那インターチェンジから中央高速道路に乗った3号車は、駒ヶ根インターチェンジでいったん下車、駒ケ根市の昭和伊南病院駐車場に集まった34名の参加者をピックアップして再度、中央高速道路で恵那サービスエリアに直行です。

サンクチュアリ 岡谷インターチェンジから長野道に入った1号車は直接中央道恵那サービスエリアをめざします。2号車は、飯田インターチェンジで下車して、飯田からの参加者11名をピックアップして恵那に向かいます。少し雨が残った感じですが、本日は行いの良い参加者ばかりです。天気は回復するでしょう。3台のバスはそれぞれ、参加者を満載して、恵那サービスエリアをめざします。少し早めに着いた1号車に2号車、3号車が合流して少しの休憩の後、9:25遠州灘を目指して3号車を先頭に出発です。

 参加者に配布された名札に名前を書いて、クリップボードには「今日の発見ノート」と「今日の感想文」が挟み込まれました。さて、恒例の“天竜川カルトクイズ”のはじまりです。全部で20問。3号車では、出題者の倉田事務局長から「今日は、簡単な問題が多いので全問正解が出るかもしれません。」と、アナウンスがありましたが、結果はどうだったのでしょうか?かつて『天竜川カルトクイズ』の出題者だった天竜川ゆめ会議の岡本さんは、2号車で苦笑いしていたのではないでしょうか。問題が出るたびに、スマートホンで検索をかけている親子はたぶん全問正解だったでしょう。「そんなの知らない~。」、「ぜんぜん解らない!」カルトクイズで盛り上がっている中、バスは東海環状に入ります。岐阜県内を走行中に車窓には強い雨が叩きつけています。でも、クイズに夢中な参加者の皆さんは知らんぷり。気をもんでいたのは天竜川ゆめ会議の実行委員スタッフの皆さんだけだったのではないでしょうか。

川の勉強会 少し時間に余裕が出来ました。東海環状から東名高速道路に入ったところで『新城パーキングアリア』でトイレ休憩して、バスは磐田インターチェンジを目指します。例年、磐田市竜洋昆虫観察公園の会場をお借りして環境学習会を開催していたのですが、今年はなにしろ大所帯です。磐田市役所の計らいで会議室の広い、『豊浜交流センター』をお借りすることにしました。豊浜交流センターは、磐田市の保育施設統合で、保育園だった建物をリニューアルして交流センターにしたもので、快適な建物でした。参加したお子さんもお昼休みに絵本を読んだり遊んだり楽しそうでした。

磐田市のお話 昼食を済ませ、午後からは『環境学習会』です。磐田市役所の職員の方からご挨拶を頂き、続いて国土交通省浜松河川国道の職員の方から天竜川の砂についてお話を聞きました。快適な生活を送るために、ダムを作って土砂を止めたのに、そのせいで海岸が浸食される話はちょっと難しかったかもしれません。でも、最後の質問の時間に元気よく「砂は、どうやってできますか?」と質問もできました。

勉強 国土交通省と磐田市役所の職員の皆さんに御礼を言って、豊浜交流センターを後にした一行は、いよいよアカウミガメの放流会に向かいます。毎年お世話になっているアカウミガメを保護活動をするNPO法人であるサンクチュアリジャパンの事務所2階と3階の会場をお借りして、ウミガメの生態についてお話を聞きます。今日放流するアカウミガメの赤ちゃんが、20年かけてアメリカ西海岸まで行って、帰ってくる確率は5000匹に1匹といったお話を聞きました。カメの勉強会盗難によってウミガメの卵が盗まれる話を聞きました。進む海岸浸食のために、カメたちが20年後産卵に帰ってきたときに、産卵する砂浜が無くなっているかもしれないお話も聞きました。肺呼吸のアカウミガメが呼吸のために海面近くに上がってきて、そこに浮かぶレジ袋をクラゲと間違えて誤食し、死んでしまうお話も聞きました。「おかあさん、レジ袋はやめてマイバック持っていこうね。」ヒソヒソ声が聞こえました。だんだん、解ってきてくれたみたいです。

砂をプレゼント 遠州灘では天竜川の土砂運搬が減少したために海岸浸食が深刻な問題になっていることをバスの中で勉強してきました。今日放流したアカウミガメがお母さんになって帰ってきたときに産卵する砂浜が残っているように、今年も海岸浸食が進む中田島砂丘に上流から持参した「砂」をプレゼントしました。
海岸に一直線に並んだ参加者の手には、先ほどスタッフの方から渡されたアカウミガメの赤ちゃんが手足をバタバタさせています。カメ1
自分の顔の前に子ガメを持ってきて写真を撮ってもらう子供達。目はキラキラ輝いています。初めて触ったアカウミガメの赤ちゃんの感触。「ちょっと硬い。」、「ぷにゅぷにゅしてる。」、「おなかと甲羅を持つとバタバタ飛ぶような恰好をする。」感想はそれぞれです。


放流「それでは、放流してくださぁ~い。」の声で、子ガメが放たれます。一心に海に向かって歩いてゆく子ガメ。参加者は、自分のカメを目で追います。離岸流という波で沖まで流される話を聞きました。海には近づかない約束です。子ガメを追いかけることはできません。助けに行って海に放すこともできません。ただ、頑張れと応援するだけです。海に入って、波に押し戻されて陸に戻ってしまうカメ。なかなか海にたどり着けずに斜めに海に向かっていくカメ。波でひっくり返ってジタバタもがいているカメ。カメを見送るやがて、子ガメたちは波にのまれて海に旅立っていきました。これから、彼らの長い長い旅が始まります。雄のカメは、今日を最後に二度と砂浜に上がることはありません。参加者の皆さんはカメが見えなくなっても、しばらく海を眺めていました。

「バスに戻って帰るよ~。」の合図で参加者の皆さんは浜辺を後にします。中にはまだ、遠い海原を眺めている子供もいます。なごりおしい長いアカウミガメの冒険の旅を想像しているのかもしれません。

 今年も多くの方々にご参加いただいて事故もなく無事ツアーを終えることができました。アカウミガメの小さな命、それを取り巻く自然環境の変化。今日1日、参加者の皆さんは多くの事を体験し、考え、心に刻んで頂けたと思います。大切な自然環境の保全のために、一人一人が出来る事から始めることが大切だと感じます。
 ご参加、ありがとうございました。